スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

さとがえり(3)ボーダーライン

2008.10.01 01:12|宇気比真弓
【→(1)技ありサプライズ仕掛け人!】
【→(2)歩く災厄、捕獲される】


(結局のところ、親父の真意は親父しか知らない訳で)
.

「あーあー、追い出された」

「誰の所為だがや!」


あれから警察署近くの喫茶店に席を移したものの、それからがまた一悶着だった。
こっそり再び逃げ出そうとした省吾と真弓が再度もめて。
結局、その喫茶店からもすぐ出る羽目になってしまった。

仕方が無いから、その足で省吾が泊まっている宿へと荷物を取りに向かう。
近くだから、とまだ春とは言え軽く汗ばむような陽気の中、ひたすら歩く。

「で、叔父さんが泊まっている所というのは?」


「その辺」


「…真面目に答えてくれませんか?」

「分かったから笑顔でグーは止めてくれ、しかも中指立てたの!
…あのマンションの角を曲がって暫く進んだところにある宿、そこが今泊ってるとこ」


「そうですか、分かっていただけて何よりです」

にっこりと笑う真矢に、この時心の声で
(それ脅迫だろが…っ!)
と叫んだのは真弓か、省吾か、それとも二人だったのか。
答えは誰も知らない。



//



「―ん、…泣き声?」
ふと微かに、風に乗って泣き声が聞こえてきた。

前方に目を凝らせば、花輪と鯨幕が見える。
葬式があったらしい。

「…あぁ、哭き唄か」
「なきうた?」
鸚鵡返しに訊く真矢に、省吾が『先生の顔』で説明する。

「慟哭の哭くに唄、と書く。
葬式の時、俺はもう大丈夫だから、安心して逝ってくれと死者に字の通り叫ぶんだ。
今じゃもう滅多にお目にかかれんと思ってたが…まだやってるとこもあったんだな」

「ふぅん…」

白と黒のコントラストを横目に通り過ぎる。
一際大きくなった泣き声が三人の耳朶を打つ。

「叔父さんは…何で、ここでフィールドワークをやっているんですか」
その家を過ぎたところで、真矢がぽつりと尋ねた。

「…ん?」

「確か、叔母さんが生きてた頃は今とは違うジャンルを専攻していた筈です」
「おぉ、よく知ってるね」
「弓のの物置にありました」
「あぁ…あれ見られちゃってたのか」
「ええ」
「何でだろうな。俺にもよく分からん」
ただ、と省吾は続けて、


「美矢子が死んでから、死とかそっち方面にばっかり気が向いてなぁ」





…そこだけ、空虚がぽっかり口を開けたようだった。
スポンサーサイト

タグ:SS

コメント

非公開コメント

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

秋夜

Author:秋夜
ここの管理人。
本当は「みかさ しゅうや」だけど長いので略。

民俗学と日本神話とSFとミステリとアジアンなものにときめく節操なし。
無駄なトリビアを多数所持してます。

メセあります。
camellia_snow2974♪hotmail.co.jp
(♪を@に変換)
登録の際、事前に手紙にて連絡を下さい。

カテゴリ

サブカテゴリ

最近の記事

最近のコメント

リンク

四季の花時計

遊んでます。

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。