Locked→Unlocked(1):名を付け難きもの
(堂々巡りだ。

ぐるぐるぐるぐる、まるで自分の尾を追う犬のように)
.



…何でだろう。
浦雪に最近避けられている。

(…、なんか、やってしまったんかな、俺)

憂鬱な気分で東洋新世界ビルディングのドアを潜る。

今日は一人でここに来ていた。
誰かを誘おうかと思ったけれど、最近足を引っ張ってばかりで、何だか気がひけてしまう。
いつものように米沢へと足を向ける気にもなれない。

さっさと1階のゴーストを光の十字架であらかた片付けると、エレベーターホールの扉を開いた。


(……避けられるようになったん、いつからだっけ。そういえば)
11階へのエレベーターを待つ間、いつの間にかまた思考がぐるぐると渦巻いていた。
近頃は大体そんな感じだ。

ぼうっとして、GTに行ってもあっさり気絶して。

(役立たず)

思わず漏らした自嘲もすぐ彼方に流れ去ってしまう。


(何で、避けられるようなったんかな)

切欠は、クラス発表があった日…だと思う。
遊びに行ったら酷くしんどそうで。
声を掛ければ今にも倒れそうな顔色で返事をするから、負担を掛けないよう早めに教室に戻った。

(明日になれば治るって、思っとったし)

中々治らないみたいだからと言って見舞いに行ったときも、憎まれ口を叩ける位元気そうだった。

(すぐに追い返されてしまったけども。―ただ、少し様子が変なんが気になって)



…そう、それからだ。

浦雪のクラスの前を通り掛かる度様子を伺えば、いつも眠そうに机に突っ伏していて、たまに目が合ってもすぐ逸らされる。


最初は気のせいだろうと思っていた。
でもそれが何度も続くと、薄々察知出来るようになる。

浦雪の目は潔くて好きだ。
だから、よくある仕種なのに、浦雪に目を逸らされるとどうにも胸が痛んで仕方が無い。


(出来るんなら、)

何で避けるのか、理由を聞きたい。
数えてみたら、ここ数日はまともな会話すら交わしていない。


……今度会ったとき、一言二言だけじゃなくて、もっと。
その思いが何処から来ているのか、半ば分からないままにそう願った。

逃げ出したい気持ちだってある。
嫌われてるという事をハッキリさせたくない。
中途半端なままで置いておきたいとも思う。

だけど、欲求が勝った。


(…ちゃんと、話してゃあなー…)

思わずしゃがみこんで顔を埋める。




寂しいとか、悲しいとか、それ以前に。
ただ、切なかった。

宇気比真弓  CM(0) TB(0)

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