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海への散歩(4):Sorriso

2007.07.05 03:26|宇気比真弓
何だか悲しかった。
最後にお別れを言われたような気分で。

しかも遠くに行ってしまって二度と会えないような。
…あー、そうか。心配だったんは、この…。


思わずちぃとだましかって(黙って)しまった。
それから、うん、と俺は一つ頷いて。

「…ん、ありがとな、信じてくれて」
そうしてちゃこさんに笑いかけた。



「…えへへ、チャコ果報者です。
宇気比さんが幸せになれるの、いっぱい祈りますね。
いつも笑っててくれなくていいです、泣いたり、怒ったりしてください。
でもサイゴは……笑顔になってくださいですよ」

だったらちゃこさんも。泣いても、怒ってもええんだでな?

「でも、みんなの前では笑ってたいです。
チャコは笑ってなきゃダメなんです、存在価値なんです。
きっと、笑顔とったら何にもなくなっちゃうですよ」

そう言ってちゃこさんが笑う。

でも。それじゃあよ。
笑いたくないときどうするん?
無理やり笑う?そんなん、もっと辛ぇがや。
あの人みてーに笑って、心ん中どんどん歪んでって。

…最悪行き着くんはあの白い白い病室ん中。


だから、余計に心配だった。




いつしかすい、と冷たい風が通り過ぎる。
見ればもう夕方、いつまでも濡れたままというのも何なんで、帰る事になった。

途中コンビニとかでタオルを買ってこなかったことを後悔。
鞄の中、拭くもんゆーたらタオル地のハンカチしかねぇし…。
それでも少しはマシになるかと思ってちゃこさんに渡す。

なのにちゃこさん、先にこっちの顔を拭ってくれた。
やっぱちゃこさんええ人だわ、そう呟いたら慌てて訂正された。

「チャコは…いい人なんかじゃないですよ?
悪い子です、とっても、黒いです…騙されちゃだめです!」

何だか必死なんがかわええ。
ええんよ、俺はええ人だて信じとるだけだで。
騙されとってもそん時は騙された自分が悪ぃ。
そう言うと、ちゃこさんは微笑って。

「ふふ…じゃあ、騙されてください、です。
…宇気比ちゃん、早くしないと置いてっちゃいまスよ!」

一瞬、驚いた。
ここんとこ『宇気比さん』だったんに。
「久々に、「宇気比ちゃん」って聞いたわ…!」
伝えたら、ちゃこさんびっくりした顔をしていた。
自分でも気付いてなかったらしい。
嬉しくなって、また帰りに色々と話をしながら帰った。

別れ際。
どうしても言っておきたかった言葉だけ口にする。
「ちゃこさん、笑顔とったら何もなくなるっちゅー訳はねーでよ。
存在価値っちゅーんは何も一つだけじゃにゃあで」
本当にこういうとき、どういう表情をしたらええんか分からん。
ちゃこさんの頭を撫でながら、知らず知らず悲しい顔になっとった。

「…じゃあ今日はここでお別れしましょか」
また教室で会う事を約束して、それぞれの家路につく。
「また、教室で会いましょうです」
その言葉と一緒に最後に見た笑顔はきっと忘れられん。



どうかちゃこさんに幸ありますよう。
あってはならん道理はねぇんだ。
幸せは、皆でなるもんだで。


こうして、海への散歩は終わりを告げた。
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秋夜

Author:秋夜
ここの管理人。
本当は「みかさ しゅうや」だけど長いので略。

民俗学と日本神話とSFとミステリとアジアンなものにときめく節操なし。
無駄なトリビアを多数所持してます。

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