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空に願った「それ」は、

2007.05.13 18:32|七儀唯冬
某県、山中。
それも山のおくつきとも言えそうな、人も来たがらないような場所に七儀家はあった。
明治以前に建てられたこの屋敷は、相当古い。
茅葺きの屋根から今も現役の囲炉裏の煙が昇っている。
どうひいき目に見てもこの辺は、完全に時流というものから切り離されていた。
時は、十数年前。唯冬が5歳の頃。
.






「何が入ってくるか分からないから、気をつけろよ。お化けを退治したら、すぐに戻るからな」
「いい子にしていてね、戸締りはちゃんとするのよ?」

両親がいろりの火を消すと、一つ唯冬の頭を撫でて未舗装の道を軽トラで出かけていく。
それを見届けると、唯冬はぺたぺたと裸足のまま屋敷の縁側へとおもむいた。
ぺたりと座り込むとぼうっと外を眺める。
外には出ない。すぐそばまで迫る山の中、何がいるとも限らない。
以前父が熊に襲われて命からがら猟師に助けられたと言う話を聞いたせいか、唯冬にとって山は畏怖の対象だった。
でも、屋敷の中も恐ろしかった。
しんとした静寂に沈む日の差さない座敷や廊下は何か潜んでいそうで。
唯一、日の当たる縁側が唯冬の安息の場所だった。

(おばけってどんなものなんだろ?)

やっぱりお話でいうように真っ白いのかな、とつらつらと考える。
ここのところ、両親はお化け退治によく出かけている。
手に入る報酬が良いんだ、家計の助けになるという父と。
ご先祖様が残した『技』で人を助けられるなら、という母と。

(前はずっと僕と一緒にいてくれたのに、二人ともひどい)

そんな風に思う。
お化けなんか早く倒して、二人が早く帰ってきてくれるといいな、と突き抜けるような空を眺めてそう願った。

…しかし、次の瞬間聞こえた甲高い鳥の鳴き声はその願いを嘲笑うかのように妙に後に響いた。
まるで もう会えないよと 嗤っているかのように。
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本当は「みかさ しゅうや」だけど長いので略。

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