スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夷神の末―あるいは託宣の次第

2007.08.10 22:21|梓原真矢
※微妙にグロい表現あります。

【夷】
異邦より村に時たま訪れる外来の神であり、海の向こうからやってくる水の神(by WikiPedia)

他に水死体を神格化したものだと言う説もあるそうだ。


ざく。

木が土を噛む音が響く。

ざく。ざく。


「…ふ……っ!」
依頼の後、真矢は倒したリビングデッドの簡単な墓を掘っていた。
無人島だとはいえ、野ざらしにしておくのは気が引けたからだ。

遠くに波の音を聞きながら、黙々と掘る。


ざく。

暫くして音が止まった。
見れば、真矢を中心に4畳くらいの大きさの穴が出来ていた。
あまり時間をかけられなかった為、大きさの割に底は浅い。
「……は、…っ!!」

それでも、ここまで掘れたのは一重に経験があったからだろう。
土蜘蛛戦争では、回復が間に合わなかった土蜘蛛様たちを。
今では、敵と見ていた能力者の一員としてシルバーレインの被害者を埋めている。

―何て皮肉だろう。


一瞬、戦争での事がフラッシュバックしかけて首を振った。

―やめておけ、今思い出したら動けなくなる。

真矢は汗をぬぐった。
暑い。
戦闘中は感じている暇の無かった、つんとする腐臭が今更ながら鼻に付く。
早く埋めてしまわないと、今度は虫がたかりに来るだろう。

掘った穴から出ると、穴掘りに使用した木切れを近くの木に立てかける。
そして、細切れになった死体を穴へと運び始めた。
死体には、何も感じない。
何度も見すぎて、慣れてしまった。
ただ、胸の奥で生理的な不快感だけが淀む。
数回繰り替えしてやっと、すべてが穴に入った。

ここからまた、土をかけていく。
その間、ずっと真矢は考えていた。


―俺は、何故ここにいるのだろう。
今、何の為に戦っているのか。


前は、明確な目的があった。
土蜘蛛様方の復活をお手伝いさせて頂く為、という。
今は何も無い。何も。


―何も無いなら、もう何もしなければ良いのに。
なら、何で俺は今こうして動いているんだろう。


土を掛け終わる頃には、空しい気分になっていた。
そんな気分の中、荒げた息を鎮めていると、ふと海の方から歌が聞こえた。
多分、今回の依頼で同行してくれた彼女だろう。
微かだったけれど、それは祈りに満ちていて。


―あぁ、そうか。
俺にもまだ残ってるじゃないか、戦う理由。


思いついて、真矢は破顔した。


―俺は巫女だ。
今も尚、死に切れずに荒ぶる魂を鎮めるのが俺の役目。
だったら、それらが全て鎮まるまで戦うしかない、だから俺は今も動いているんだろう。
他から見れば、依存とか執着とかそんなものに入るのかもしれない。
でも俺には、これしか出来ないから。


真矢は自分の行動に理由が見つかった気がした。
さっきより、納得した分だけ心が軽くなったように思える。
思い出したように手に持っていた木切れを地面に付きたて、簡易の墓標とする。
目を閉じて、頭を下げる。

「無念が少しでも癒されますように」

そうして改めて祈りを捧げた。
来て良かった、という想いと一緒に。




=========================
背後発言失礼します。
へぼSSにお付き合いいただきありがとうございました。
真矢の戦う理由というものが明確にされてなかったなーと思ったので依頼に便乗して設定してみました(えへ←)
何だこの中途半端なえぐさとか文が下手とか意味不明だよとか、ご意見ありましたら手紙にて知らせてください。すぐ修正しますので(汗)

当の依頼へはこちらからどうぞ。
『海境より流れ着きし……』
スポンサーサイト

タグ:SS

コメント

非公開コメント

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

秋夜

Author:秋夜
ここの管理人。
本当は「みかさ しゅうや」だけど長いので略。

民俗学と日本神話とSFとミステリとアジアンなものにときめく節操なし。
無駄なトリビアを多数所持してます。

メセあります。
camellia_snow2974♪hotmail.co.jp
(♪を@に変換)
登録の際、事前に手紙にて連絡を下さい。

カテゴリ

サブカテゴリ

最近の記事

最近のコメント

リンク

四季の花時計

遊んでます。

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。